カメラワークが印象的だった映画

写真の撮りかたはよく知らない。でも、一応、芸術を見分けるセンスは持ってると思う。

 

 昔、『ボストン絞殺魔』(The Boston Strangler)という古い映画をテレビのロードショーで見ました。実話の犯罪をもとにして作られた作品。


 実際にあった事件の詳細:

ボストン絞殺魔事件 - Wikipedia

 

この映画のカメラワークでは、当時では画期的なsplit screen(分割画面)という複数の出来事を同時に見せるマルチ画面を取入れてました。

 

www.youtube.com

たとえば、他の映画で split screenはこういうカンジで使われてます。

https://www.youtube.com/watch?v=0M4h9QK4F7A

 

『ボストン絞殺魔』の犯人デサルボを演じたトニー・カーティスの演技も最高でとにかく心理状況が伝わって来るんです。トルストイの小説 “クロイツェル・ソナタ”を読んでて伝わってるくるのといい勝負。

1969年ゴールデングローブ賞 主演男優賞ノミネート。受賞されなかった事に、多くの人が疑問を感じたようです。

トニー・カーティスの結婚歴は5回。大女優ジャネット・リーとも結婚、その娘が女優ジェイミー・リー・カーティスです。

娘と父の折り合わない時期が長かったようですが、和解があったことを願います。トニー・カーティスは、2010年に死去してます。

大女優クリスチーネ・カウフマンとも結婚歴もあります。

 

この映画、とにかくキャストが豪華で、ヘンリー・フォンダジョージ・ケネディも出演。

監督は『ミクロの決死圏』『海底二万哩』のリチャード・フライシャー。私の好きな監督の一人。映画「トラ・トラ・トラ!」の監督さんですが、実は、「トラ・トラ・トラ!」は、F0X映画会社から誰を監督に起用するかということで、フライシャーが選ばれたようです。

 

トラ・トラ・トラ!」の裏話があるので、載せておきます。

>>撮影まで

アメリカ側、日本側双方の場面を別個に撮影して組み合わせる方針であったため、日本側シークエンスの監督に誰を起用するかという意見を求められたエルモは迷わず黒澤明の名をあげた。この話を聞いた当時の黒澤明はそれほど乗り気でなかったというが、東宝の手を離れて黒澤プロダクション(以下黒澤プロ)を完全に独立させた直後という事情もあり、ハリウッドと組んで大作を撮るという話は渡りに船でもあった。黒澤も当時力をいれて進めていた『暴走機関車』の製作が一時中断になったことから『トラ・トラ・トラ!』の製作にのめりこんでいく。1967年4月28日、東京プリンスホテルで製作発表があり、黒澤、エルモ・ウィリアムズ、源田實参院議員らが出席。エルモの編集作には『真昼の決闘』『海底二万哩』『ヴァイキング』など、監督作品は『史上最の作戦』『クレオパトラ』。エルモから『トラ・トラ・トラ!』の製作スケジュールの説明があり、この時は撮影開始を1968年初め、1969年に公開発表された。つまり公開予定が一年半以上伸びたということになる。

1967年7月にハワイでエルモ・黒澤・フライシャーらが一堂に会して製作のための話し合いを行ったが、黒澤はフライシャーを好まず、ほとんど成果を見なかった。結局プロデューサーのエルモが脚本の決定稿をまとめあげたが、黒澤は自分の脚本部分のカットが多かったことが気に入らなかった。ここで製作が行き詰るかに見えたが、社長のザナックが自ら来日して黒澤を訪ね、黒澤も訪米しザナックと会談を行ったことで状況は好転した。

アメリカでは撮影用に多くの軍用機が手配され、日本でも福岡の芦屋町航空母艦赤城と戦艦長門の巨大なオープンセットが製作されたことで製作は順調に進んだ。

一時製作が延期になっていたが1968年11月からの日本側撮影再開予定に伴い、1968年6月27日の毎日新聞夕刊「日本側監督に東映佐藤純弥が決まった。まだ7本目だがダイナミックな演出振りに白羽の矢が立った」と書かれ、この記事では佐藤は第2班監督ではなく、単に日本側の監督」と書かれている。佐藤がB班監督に抜擢された経緯は、佐藤のデビュー作『陸軍残虐物語』を気に入ったからと噂されるが、佐藤は「確かめたことはない」と話している。佐藤は山本五十六にも真珠湾攻撃にも興味はなく、黒澤と一緒に仕事ができるという理由だけでオファーを受け、東映と本数契約を交わしていたが、会社から「行ってこい」と言われ参加した。また「出演者は無名の一般人を起用する方針で、いま選考中。山本五十六役には応募者が殺到している」と書かれている。

 

他には、カメラワークが印象的だったのは『ミュンヘン』。映画館で観たので映像の迫力と音の相乗効果。

gigazine.net

 

ヒッチコックの映画の中で、私個人が一番好きな映画『間違えられた男』The Wrong Manの映像の見せ方も印象的です。

ヒッチコック作品の中で、唯一、実話をもとに描かれた作品です。ですので、ヒッチコックが、冒頭でライトを背に浴びながらスクリーンに現れ、

「The film's "every word is true. この映画は実際に起こった出来事を基にした映画です」と、内容がシリアスな映画だと珍しく生真面目に語ってます。

予期せぬ展開に対応する主人公の心理描写がヘンリー・フォンダの演技を通して伝わって来ます。素晴らしい役者です。

ストーリー:NYのクラブで働くミュージシャンのマニーは、妻ローズと共に貧しい生活を送っていた。妻のために歯の治療費を借りようと、マニーはローズの保険証書を持って

保険会社のオフィスを訪ねる。しかし、そのオフィスに2度も強盗に入った男にマニーがそっくりだったため、警察により連行されてしまう。